いつもお世話になってます。笑い素子です。
雑務に煩わされて、読み終わるのに少し時間がかかってしまいましたが、その分話の内容が胸に収まるまでじっくりと味わうことが出来たように思います。
さて、感想なのですが、想像していた通り書くのはなかなか難しい。
「生きている作家を知っているということ、それも親しく知っているということ、それは読者とテクストの関係をきわめて不安定なものにしてしまう」
とある小説の解説に書かれた言葉を引用しました。
実際にお会いしたのは会場での一度きりで、親しいというのは失礼かもしれませんが、それでもこの小説を読みながらテクスト外の行間に随分想いを馳せる時間が長かったように感じます。
「宗教の話は以前のツイートで言ってたな」とか「キーリもこんな感じだったけな」とか、まあそんな程度なのですが。
それでも行間に込められた意味を喚起させるだけの、想像力を刺激する表現がこの小説には確かにある。ふっと文字から眼を逸らした時に浮かんでくる様々な想い。私は小説の物語そのものより、むしろそうした空想に身を浸す時間が好きなのです。
あまり批評的な評価などしても意味ないのかも知れませんが、敢えて蛇足を加えると、全体として物語が作者の手を零れないよう上手くコントロールされているなと思いました。テーマに宗教を持ち込んでおり、作品に一定の重厚感を与えていますが、対話の最中に洩れる登場人物の告白は箴言めいていながら同時にリリカルで、このあたりはきっと村上春樹を意識されているのでしょうね。特に夕奈の回想シーン、裕一朗とローザの会話部分など、私は好きです。後半部もかなり設定を研究されたのだと邪推します。
あとがきに書かれている通り、今回はまだ世界設定とキャラ設定が中心で終わっていますが、パート2ではどのような具合に物語が発展していくか、自分も色々妄想力を働かせながら楽しみにしております。